なんのために勉強するの?(連載 1/4)


(1)勉強は自分の夢のため


心理相談員 みやたあきら


ごあいさつ

心理相談員の みやたあきら と申します。

生き辛さを抱える子どもたちや保護者の相談に乗りながら、SNSでの発信や執筆、講演活動を行っています。これまでに1万5千人に講演を行い、手紙やメール相談のやりとりは2万7千通を超えます。(コラムの末尾に「プロフィール」掲載)

このたび、アカデミー・ハブ(株)代表取締役の松浦さまよりお声掛けがあり、連載コラム「なんのために勉強するの?」を書かせてもらうことになりました。


幸せとは「安心と喜び」

私たちは、子どもの幸せを願って、子育てをしています。ということは、勉強が子どもの幸せにどうつながるのかが分かれば、勉強の目的を理解することができます。

では「幸せ」って何でしょう? 人によっていろいろな「幸せ」があると思います。ここは、そういった哲学的なことを考える場ではありませんので、シンプルに考えることにします。

「幸せとは、安心と喜びを感じながら生きること」――でどうでしょうか?

怖いことや不安なことがあると、幸せではありません。でも、不安がなくても、うれしいことがないと幸せとは言えません。ということで、「幸せとは、安心と喜びを感じながら生きること」にします。


甘えと反抗をくり返しながら成長する

「子どもの成長」は、子どもが人生という長い道を歩いていくことにたとえると、わかりやすいと思います。子育てのゴールは、「子どもが自分で道を選び、喜びを感じながら自分の力で歩むようになること」です。

赤ちゃんの時には、親の腕の中で守られ、大切にされて、安心を感じます。それだけではなく、「自分は大切にされる価値のある存在なんだ、生きてていいんだ」という、生きることへの安心感(自己肯定感)が育ちます。

やがて安心だけでは物足りなくなります。ワクワク、ドキドキといった喜びを求めて、興味のある方に歩きはじめます。「反抗(自立行動)」です。遠くまで行き過ぎると不安になり、親の腕の中に駆け戻ってきます。安心を求める行為、「甘え」です。

甘えと反抗をくり返しながら、やがて一人で旅を続けられるようになります。自立です。


勉強は自分の夢のため

自分が選んだワクワクする道、それを私たちは「夢」と呼びます。夢を見つけるためには、世の中にはどんな道があるのか、その先にどんな世界があるのか知る必要があります。自分の力で歩むためには、障害物を乗り越える知恵が必要です。そういった知識、知恵、能力を身に付けるのが「勉強」と考えることができます。

ですから私は、子どもたちには、「なんのために勉強するのか」を次のように話しています。


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皆さんは、なぜ勉強するんですか?

勉強しないと叱られるから、いい成績をとるとほめられるからだよね。私も子どもの頃はそうでした。

でも、勉強というのは、ほんとうは、自分の夢のためなんです。宇宙のことを知らないと、宇宙飛行士になるという夢は持てません。夢をみつけるために、今勉強してるんです。そして、夢を見つけたら、その夢を叶えるために勉強するんです。

お母さんやお父さんが、「勉強しなさい」って言うのは、「うちの子は、こんないい成績をとるんだよ」と、自慢したいからじゃないんですよ。みなさんが、自分の夢を見つけた時、「もっと勉強しとけばよかった」と、後悔してほしくないんです。その夢を叶えて、幸せに生きてほしいのです。

勉強は、誰かの期待に応えるためではなく、自分の夢のためにするんです。

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小学校中学年くらいなら、この話を聞いて、「自分の夢のためなら頑張るぞ!」と思う子は多くいます。


小さな子には学ぶ楽しさを

ただ、それより小さな子になると、将来の幸せの話はまだピンと来ないようです。小さな子にとっては、今楽しいことが幸せですから。

以前、小学校の教職員研修「自己肯定感を育てる」の講師をしたときのことです。学習意欲の話になったとき、先生の一人が、「勉強そのものにも、楽しさや喜びがあるはず。その喜びを子どもたちに感じてもらいたい」と発言されました。すばらしい先生だなと思いました。

世の中のことや自然のしくみが分かる、本を読めるようになり手紙が書けるようになる……これって、本当ならワクワクすることですよね。小さな子には、学ぶことのおもしろさや楽しさを感じる教え方ができると、いいなと思いました。

つづく


心理相談員 みやたあきら プロフィール

広島市在住。 大阪大学 基礎工学部 卒。1977年、地元広島の大手自動車会社に入社。会社員時代に、「モノづくりもビジネスもすべて、人の幸せのため」と気づいて、心理学やカウンセリングを学ぶ。現在は心理相談員として、SNSでの発信や執筆、講演活動、生き辛さを抱える子どもたちや保護者の相談に乗っている。講演は、学校、公民館をはじめとして、広島市シニア大学、江戸川区「区民の集い」、浄土宗保護司会(港区 増上寺)など多数。これまでに1万5千人に講演を行い、手紙やメール相談のやりとりは2万7千通を超える。

◆著書『この子はこの子でいい、私はわたしでいい』は、子育ての基本的な考え方と、乳幼児期から自立までの具体的な対応方法を分かりやすく解説。手元に置いて、子育てに迷ったら手にとってもらいたい一冊。Amazonと楽天ブックスで販売中。

https://amazon.co.jp/dp/B0CMRCVX6S

https://books.rakuten.co.jp/rb/17711699/


◆ブログ『幸せのDNA … 学校では教えてくれない大切なこと』には、肩の力を抜いて笑顔で子育てができる記事が満載。

https://ameblo.jp/miyatawsp/entry-10213485281.html